ウィザードリィ外伝2~サキュバスの誘惑~

 

 迷宮の地下八階へ到達し、名実ともにベテランの仲間入りを果たした。冒険者稼業に勢いがつくのは、これから。このようなところで終わるはずがなかった。

 終わるはずがなかったのだ。

 ジャイアントゾンビの群れに四方から囲まれ、こちらのフォーメーションはもはや前衛も後衛もない。すでにふたりの魔法使いは猛毒の息をもろに浴びて、息絶えた。

 だが、ふたりはまだ幸運だったかもしれない。

 半死半生で残ったメンバーは、ジャイアントゾンビの巨躯を見上げ、戦々恐々とする。

「あ、あぅ……う」

「逃げろ、ゲホッ、おれに構うな……!」

 僧侶の男は両脚を踏み潰され、瀕死の有様だった。それでも仲間を案じる言葉が、戦士を発奮させる。

「一匹は仕留めたんだ! こいつら全部、おれがやってやる!」

 しかし彼もまた猛毒のせいで動きが鈍っていた。まるで玩具のようにジャイアントゾンビに掴み取られ、握り潰されてしまう。

「お、お前らなんかに……お前らっ、へぶぎゃあ!」

 めきめきと木材が割れるような音――それが人間の身体がへし折れる音なのだと、リーダーの彼は初めて知った。恐怖が度を越えてしまい、失禁の自覚もない。

 戦士の惨たらしい死に様を目の当たりにして、盗賊はひとりで一目散に逃げ出した。壁の裂け目へと飛び込んで、必死に身を潜める。

 ジャイアントゾンビの大きな手は、その中までは届かなかった。

 だが猛毒の息からは逃げられない。

「ヒッ? や、やめろ! 助け……ぐああぁあああッ!」

 またも断末魔が迷宮に響き渡った。残るはリーダーの彼と、半死半生の僧侶だけ。

 ジャイアントゾンビどもは愉快そうに笑みを浮かべた。知能は低くとも、この小さな生き物は面白い悲鳴をあげる、と理解したらしい。

 この絶望的な状況で、彼はせめて瀕死の仲間に止めを刺してやった。

 彼のためであり、自分の矜持のためでもある。最期に人間らしいことがしたかった。

「……あ、あり、が……」

 こんなはずではなかったのに――その悔しさが彼を苛む。

 幾度となく死線を乗り越え、仲間とともにここまで来た。冒険者として名をあげ、街でも一目置かれる存在となった。

 その結末が全滅。どこで何を間違えたのだろうか。

 いや、間違えてなどいない。最初から自分たちは『特別』ではなかったのだ。なのに一流の冒険者になれると思い込んで、栄光の未来を信じてしまった。

 今頃になって父や母の小うるさい説教を思い出す。走馬灯は始まっていた。

 ジャイアントゾンビどもは彼に狙いをつけ、嬉々として手を振りおろす。それこそ幼い子どもが虫をいたぶるかのように無邪気に、そして残酷に。

 小さなそれが息絶えたともわからず何度も、何度も。

 やがて松明も消え、迷宮は闇に閉ざされた。

 

 

    BAD END           

 

 

 

 …そんな寸劇はともかくとして。

 

 かくして悪のパーティーは全滅してしまった。

 その原因が『モンスターを見間違えて』だもんなあ…。

 これが古典的名作ウィザードリィです(ドヤァ)って講釈垂れてたくせに、

 このザマですよ。

 

 しかしパーティーが全滅したからって、

 お城で王様に『死んでしまうとは情けない!』と怒られはしない。

 メインテーマとともにタイトルに戻り、データをロードするわけでもない。

 

 パーティーの死体は迷宮に置き去りにされたまま、ゲーム続行である。

 

 運が悪いと死体が灰になったり、最悪ロストもありうる。

 別の場所に移動することもあるらしい。

 モンスターがやったってことだろうけど、死人に鞭打つ処理ですな。

 

 死体を回収するには、救助隊で全滅した場所まで行かなくてはならない。

 おっと、救助時はパーティーに『空き』がないと回収できないぞ。

 つまり5人以下のパーティーで往復するわけ。

 

 

 今回は全滅場所がはっきりしてるし、酒場にマロールの使い手もいる。

 アラハムキたちはレベル31の侍さんに回収してもらいました。

 

 その後、全員がカント寺院で無事に復活。

 体力が初期値のイザークも一発で生き返ってくれた。

 

 これ、生き返ったあとはすんげー喧嘩になるんだろーなあ…。

 「ゾンビに窒息の呪文が効くかよ!」「うるせーデクの棒!」ってふうに。

 それでもまた一緒にパーティー組むんだぜ?

 

 あー酷い目に遭った。

 

 ところで、全滅したせいで『砂のメダル』がなくなっていた。

 (全滅するとアイテムがなくなったりもする)

 また四階でサンドクラッドと戦う羽目に。 

 

 

 憂さ晴らしにティルトウェイトとマバリコの重ねがけで、

 1ターンでチリにしてやったけど。

 

 改めて第二エレベーターを開放し、八階の探索を再開する。

 さっきのジャイアントゾンビは恐ろしい敵だが、出現率は低いようだ。

 クリフトもレベルが上がってきて、攻撃面で頼りになる。

 

 

 この八階は見ての通り、似たような構造がループしている。

 (マップの上下と左右は繋がってるのだ)

 おまけに、十字路にはテレポートや回転床が仕掛けられてるわけ。

 

 けど八階には何もない。 

 このフロア自体が『罠』なのだ。

 ここで全滅って、古代皇帝の思うツボじゃん。

 

 八階のマップを埋めたら、続いて九階へ。

 しっかり呪文を覚え、装備を揃えてきたこともあって、

 九階の敵とも対等に戦える。

 

 司教イザークのレベルも着々と上がってきた。

 

 実はこの『司教』、上級職でありながら、

 知恵と信仰心が12あればいいだけなので、いきなり作ることもできる。

 (ただし僧侶と同じく性格が『中立』では作成できない)

 

 魔法使いと僧侶の呪文を両方とも習得し、アイテムの鑑定もできるのが司教。

 なら最初から連れていきゃいいじゃん、と皆さんは思うかもしれない。

 

 だが、上級職は成長が遅いのだ。

 忍者に至っては盗賊の倍以上の経験値を必要とする。

 

 司教の場合はレベルアップが遅いうえに呪文の習得も遅い。

 魔法使いや僧侶だったらレベル13でL7の呪文を習得するが、

 司教は30近くまで上げなくてはならないほど。

 

 最初から連れ歩いたところで、

 決戦時はせいぜいL3あたりまでの呪文しか使えないだろう。

 これではバマツを唱えるくらいしかできない。

 

 そこで、先に僧侶の呪文を全部習得させてから、司教に転職したのだ。

 こうすればレベルが低くても、マディやマバリコが使えるため、

 大事な戦いで手持ち無沙汰にはならない。

 

 

 レベルが上がってきたところで、いよいよ『鑑定』も始める。

 まだ失敗は多いが、パーティーの資金不足は一気に解消できた。

 司教がいりゃ、お金は使い道がないんだけどね…。 

 

 ちなみにこの頃のウィザードリィでは、

 司教は手持ちのアイテムしか鑑定できないので、

 作業の効率化のために裸で連れまわされるのが恒例だった。

 これでアイテムを8個ずつ鑑定できる。

 

 ついでにほかの上級職も紹介するぞ。

 

 ロードは性格が『善』のみで、僧侶の呪文を覚え、最強の鎧を装備できる。

 侍は性格が『善か中立』で、魔法使いの呪文を覚え、最強の剣を装備できる。

 忍者は性格が『悪』のみで、盗賊の技能を持ち、たまに一撃必殺が出る。

 

 ここでネックになってくるのが性格だ。

 (根気はいるが、善から悪、悪から善は変更できる。中立は不可)

 まず、善と悪は一緒にパーティーを組めないぞ。

 迷宮で合流する手もあるが、この『外伝2』のマニアモードでは無理。

 

 転職において善のキャラは優遇されてる。

 わかりやすい例でいうなら、僧侶→侍や、魔法使い→ロードだ。

 このように転職すれば、ゆくゆくは

 すべての呪文を習得した戦士タイプができるってこと。

 

 一方、悪のキャラはいくらか損だ。

 上級職に転職しようにも、司教のほかには忍者しか選択肢がない。

 最強の剣や最強の鎧を手に入れても使えない。

 そんでもって忍者は転職の条件が厳しいうえ、レベルアップが非常に遅い。

 

 そして中立は侍にしかなれないため、将来性に欠ける。

 善パーティーが中立の盗賊(善では作れない)を連れていくと、

 宝箱を開けるだけのキャラになりがち。

 

 もちろん、必ずしも上級職が有利ってわけでもない。

 戦士や魔法使いで高レベルを維持するほうがベターな局面も多いのだ。

 

 

 んで、迷宮の話。

 九階は構造自体は単純で、すぐ十階に降りることができる。

 また、玄室が多く配置され、レベルアップやアイテム収集にも最適。

 これは元祖『1』の九階と同じだ。

 

 つまり『ここで思う存分ハック&スラッシュして、

 ラスボスに備えてパーティーを強化してね』ってこと。

 ドラクエ1より前の時代に、そんな発想があったことに驚く。

 

 やがてディアッカもティルトウェイトを習得したので、

 予定通りサイタマは僧侶に転職させる。

 

 戦闘面で問題なのは、ジャイアント系の『後列攻撃』だ。

 特にディアッカ(ホビットの魔法使い)はHPが低く、簡単に死ぬ。

 

 かといって、後列の装備を整えたところで、大した守備力は得られない。

 魔法使いじゃ鎧や盾は装備できないからね。

 司教に至っては裸だし。

 

 前列でもやはり盗賊エビス丸が穴になっている。

 とうとうコレも食らってしまった。

 

 

 ぎにゃあああああッ!

 ま、まあ盗賊なら実害は少ないし、レベルアップが早いからすぐに取り戻せるかな…。

 それに相手がサキュバスなら、むしろイイんじゃないか?

 原画は超可愛いんだぜ?

 こんな女の子に精気を吸われちゃうなんて~。

 

 ちなみに元祖シリーズのサキュバスさんがこちら。

 

 

 当時のウィザードリィは一応『十三歳以上推奨』だったが、

 なるほど…十三歳の少年が冒険に目覚めるわけです。

 

 私としては『外伝2』バージョンかなあ。

 サキュバスたんはぁはぁ。